Created on October 16, 2023 by vansw

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ている人たちのあいだには一人もいません。だからぼくはいつまでも、時間の止まったこの街に 留まることでしょう」


そう言うと、少年はまっすぐ堅く唇を結んだ。


私は彼の言ったことについて考えてみた。 その高みからの私の激しい落下をしっかり受け止め てくれる人は(もしい として いったい誰なのだろう? 私が想像をむなしく巡らせている間


にロウソクの火がふっと消えた。 そして漆黒の闇があたりを包んだ。


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