Created on October 16, 2023 by vansw

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てあしを叫びり


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翌朝の遅い時刻、私はいつもどおり、いつもの当たり前の私として目覚めた。 昨夜の全身の痺 は去っていた。自由に手脚を動かすことができた。 昼の光が鎧戸の隙間からかすかに部屋に差 し込んで、あたりはしんと静まりかえっていた。いつもの朝と同じように。


目覚めると同時に昨夜のイエロー・サブマリンの少年のことを思い出し、 まず真っ先に耳たぶ を指で触ってみた。 右の耳たぶを、 それから左の耳たぶを。 しかしどちらの耳たぶも腫れてはい なかったし、痛みも感じなかった。 普段通りの柔らかく健康な一対の耳たぶだ。


少年は昨夜あれほど強く私の左の耳たぶに噛みついたのだ。 歯形が残りそうなほど強く深く。 その痛みを私はまだありありと記憶していた、それなのに今、耳たぶには痛みも歯形もまったく 残されていないようだ。ずいぶん不思議なことだ。


私は夜の暗闇の中でイエロー・サブマリンの少年と交わした会話を、ひとつひとつ思い返して みた。私はその会話を逐一正確に思い起こすことができた。 まるで文書に記録されたもののよう


に。


彼は私の認証を得て私の左耳を強く噛み、その行為によって(おそらく) 私と一体化を遂げた。


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しびれる


10.1