Created on October 13, 2023 by vansw
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締める 2124
たつの膨らみは、丸みを持つ人為的な物質に怠りなく保護されていた。そのドーム型の「物質」 は金属とは違うけれど、衣類と呼ぶにはいささか硬質すぎる素材で作られているようだった。弾 力はあるが、きっぱり相手を跳ね返すだけの強さをそなえた弾力だった。 私は思い切って尋ねて みた。
よろい
「君の身体はどうしてこんなに硬く感じられるんだろう? ぴったりした特製の鎧でも身につけ ているみたいだ」
彼女は笑って答えた。「それはね、特別な下着でしっかり隙間なく身体を締めつけているから」 「どんなものかよくわからないけど、苦しくはないの?」
「まったく苦しくないというのではないけど、ある程度身体が馴れてしまっているから、あまり 感じないかもしれない」
「つまり、日常的にいつもこんな具合にぎゅっと締めつけているということ?その特別な下着 で」
「ええ、しっかりとしたオール・イン・ワン。 リラックスするときとか、寝るときはさすがに外 すけれど、人前に出るときはいつも身につけるようにしている」
「君はじゅうぶん痩せているし、スタイルもいいし、無理やり身体を締めつけたりする必要はな いように思うけど」
「そうね、 そんな必要はないかもしれない。 スカーレット・オハラの時代でもないし。 でもそう いうのを身につけていると心が落ち着くの。自分がしっかり護られているみたいで。 防御されて いるっていうか」
581 第二部