Created on August 29, 2023 by vansw

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来る日も来る日も、図書館の奥で〈古い夢〉を読み続けた。 高熱を出して寝込んだ一週間ほど を別にすれば、一日も作業を休まなかった。君もやはり休みなく図書館に出勤し (この街には曜 日がなく、したがって週末みたいなものもない)、私の作業を手助けしてくれた。君は修繕の跡 の見える、いくらか色褪せた、 しかし清潔そうな衣服を身に着けていた。そのような質素な飾り 気のない身なりは、どのような衣装にも増して君の美しさと若々しさを際立たせた。 肌は艶やか で張りがあり、なたね油ランプの明かりを受けて瑞々しい輝きを放っていた。つい先ほどできあ がったばかりのもののように。


ある夜、私は不思議な夢を見る。 いや、それは夢ではなく、書庫で読んだ 〈古い夢〉の中のひ とつの光景だったかもしれない。あるいは私が病に倒れて、意識が朦朧としているときに、元軍 人の老人が枕元で語ってくれた思い出話のひとつだったかもしれない。 それが意識に強くこびり ついていて、脳裏に再現されたのかもしれない。


その夢のようなもの) の中で私は軍人だった。 戦争の最中で、私は将校の軍服を着てパトロ


135 第一部