Created on October 11, 2023 by vansw

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しておいた方がいい。 その名前もできれば口にしない方がいい。どうしてだか理由はわからない けれど、そんな気がした。 墓地を訪れることも、しばらくは控えた方がいいかもしれない。


イエロー・サブマリンの少年は、翌日も図書館に姿を見せなかった。またその翌日も。


木曜日の昼前、少年の姿がやはりいつもの席に見当たらないことを知って、私は添田さんのと ころに行って尋ねてみた。 三日も姿を見せないなんて、あの子はいったいどうしたんだろうね、


と。


「またしばらく横になって寝たっきり、ということになったのではないでしょうか」と添田さん は言った。「熱心に本を読みすぎて、おそらくは頭脳のオーバーワークで」


「でも、前回のバッテリー切れから数えて、それほど日にちは経っていないようだけど」


添田さんは眼鏡のブリッジを指で軽く押した。 「ええ、確かにそうですね。いつもに比べて間 隔が少し短すぎるような気がします」


「心配するほどのことはないのかもしれないけど、でも何日かあの子の姿が見えないと、なんだ か気になってしまうんだ」


「そう言われれば私もいささか気になります。 あとで母親に電話をして様子を聞いてみましょ う」、添田さんは唇をまっすぐに結び、四、五秒考えてからそう言った。 そしてやりかけていた 仕事に戻った。


昼休みのあと、私が仕事をしている半地下の部屋に添田さんが顔を見せた。


507 第二部