Created on September 25, 2023 by vansw

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傷つけ、その結果自分をも傷つけるような経験は。


それでもやはり彼女と寝るところを想像しないわけにはいかなかった。もし私が本気で望めば、 彼女はその求めに応えてくれるかもしれない――そういう気がした。 そして私はその様子を想像 した。彼女の服を脱がせて、ベッドの中で裸で抱き合うところを。 彼女の裸の身体を想像し、そ の身体を抱く感触を想像した。 十七歳のとき、これから会いに行く少女の衣服を脱がせていく様 子を、電車の中で想像したときと同じように。そしてそのときと同じような罪悪感を私は抱くこ とになった。過去における自分の性欲と、今現在の自分の性欲とを、うまくより分けることがで きなかった。そのふたつは私の中でもつれ合い、ひとつに絡み合っていた。そのことが私を少な からず混乱させた。


それからぼくは、 きみの一対の胸の膨らみのことを考え、きみのスカートの中について考える。 そこにあるもののことを想像する。 ぼくの指はきみの白いブラウスのボタンをひとつずつ不器用 に外し、きみのつけている (であろう) 白い下着の背中のフックをやはり不器用に外す。 ぼくの 手はそろそろときみのスカートの中に伸びていく。 きみの柔らかな太ももの内側に手を触れ、そ れから......


私は目を閉じ、その再現されたイメージを頭の中から消し去ろうと努めた。あるいは、どこか 目に見えないところに押しやろうとした。 しかしそのイメージは簡単に消えてはくれなかった。 違う。そうじゃない。それは今現在のことではない。それはこの場所での出来事ではない。既


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