Created on September 25, 2023 by vansw
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「ええ、高校生の女子が憧れちゃうタイプよ。クラスでもすごく人気があったわ、もちろん。そ れで大学を出て同窓会で久しぶりに顔を合わせ、お酒を飲みながら二人で話をしていて、あっと いう間に意気投合しちゃったわけ。 昔から君のことは気になっていたんだ・・・・・・みたいな。まあ、 よくあるパターンよね」
「よくあることなんだ」
「うん、 よくあることよ、そういうのって。だって・・・・・・あなたは高校の同窓会とか出たことない の?」
私は首を振った。 「同窓会って一度も出たことがないな。 小学校から大学まで」
「過去のことはあまり思い出したくない?」
「そういうのでもないけど、学校とかクラスとか、正直言ってあまり馴染めなかった。 同じクラ スにいた誰かともう一度会いたいという気にもなれないし」
「好意を持っていた素敵な女の子とか、クラスにいなかったの?」
私は首を振った。 「いないと思う」
「昔から孤独が好きだったのかな?」
「孤独が好きな人なんていないよ。 たぶんどこにも」と私は言った。 「みんな何かを、誰かを求 めているんだ。 求め方が少しずつ違うだけで」
「そうね。 そうかもしれない」
コーヒーを飲み終え、二人で台所に立って、使った食器を洗い終えたとき (私が洗ったものを
483 第二部