Created on September 25, 2023 by vansw

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について私なりに考えを巡らせた。「つまりその煉瓦の壁は、疫病が街に入ってくるのを防ぐた めにこしらえられた、そういうことなのかな?」


少年は小さく肯いた。イエス。


「どうしてそんなことがきみにわかるんだろう」


それに対する返事はなかった。 彼は唇をぴたりと閉じ、相変わらず表情を欠いた顔で私を見て いた。おそらくそれは今ここで討議すべき問題ではないということなのだろう。


しかしもしその壁が、少年の言うように疫病を防ぐために築かれたものであるとすれば、それ でいろんな意味が通じるような気がした。 いつのことかはわからないが、とにかくそれが築かれ た時点から、その高い壁は住民を内側に閉じ込め、住民ではないものが中に入ることを阻止する べく、強固に厳密に機能してきたのだ。 街に出入りできるのは、居留地に生息する単角獣たちと、 門衛と、そして街が必要とする特殊な資格を得た僅かなもの 私もそのうちの一人だった―― だけだ。 門衛は疫病に対する自然の免疫を身につけていたのかもしれない。だから彼だけは自由 に門を出入りできる。


そび


その壁は通常の煉瓦の壁ではない。 それは自らの意思を持ち、独自の生命力を持ってそこに聳 えている。そして街をその手でしっかり包み込んでいる。 壁はいったいどの段階で、どのように して、そんな特殊な力を身につけたのだろう?


「でも疫病はいつか終わったはずだ」と私は少年に言った。「どんな疫病も永遠には続かないも のね。それでも壁はずっと変わることなく厳しく、その閉鎖状態を維持し続けている。誰も中に 入れず、誰も外に出さない。それはどうしてだろう?」


!!!!


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