Created on September 25, 2023 by vansw
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「でもそんな徹底した情報収集的な読書は、いつまでも続くものだろうか? それともそういう のは彼の年齢に特有の一過性のもので、やがて自然に落ち着きを見せていくのだろうか? いく ら特殊能力を持っているにせよ、それほど強烈な知識の詰め込みには限度がありそうだけど」
添田さんは力なく首を振った。「それは私にもなんともわかりません。 なにしろあの子のやっ ていることは、常人の域を遥かに超えていますから」
「子易さんは生前、 あの子の読書について何か意見を言っていた?」
「いいえ、子易さんはとくに何も意見をおっしゃいません」と添田さんは言った。 現在形で。 そ して小さく口をすぼめた。「腕組みをして、ただにこにこと見守っておられるだけです。いつも のように」
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