Created on September 15, 2023 by vansw

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・12A2801



縁石 さんすいじょうたい


혼수상태


ふちいし


・どうてん


○上



しかしその気配はなかった。


トラックの運転手がやって来て彼女の横に立ったが、見るからにひどく動転しており、何をす ればいいのか、何を言えばいいのか判断できない様子だった。ただ震えてそこに立っているだけ だ。


彼女は子供を抱いて家の中に入り、 とりあえずベッドの上に寝かせ、電話で救急車を呼んだ。 彼女の声は自分でも驚くほど冷静だった。 自宅の正確な住所を告げ、 家の前で五歳の子供が交通 事故に遭ったので、至急救急車を回してほしいと告げた。ほどなく救急車と警察の車両がサイレ ンを鳴らして到着し、救急車は母親と子供を病院に急送した。 二人の警察官とトラックの運転手 は現場検証のためにあとに残った。


ガスの火は消したかしらと母親は救急車の中で、子供に寄り添いながら思った。 記憶はなかっ た。 何も覚えていない。でもそんなことはもうどうでもいい、と彼女は、強く何度か首を横に振 った。そんなことはもうどうでもいい。しかしそれでも、ガスの火のことはどうしても彼女の脳 裏を去らなかった。 意識不明になった子供のそばでガスの火の始末について考え続けることは、 おそらく彼女にとって必要なことだったのだろう。なんとか正気を保ち続けるために。


男の子は病院で三日間昏睡状態にあった後に、心肺機能が停止し、静かに息を引き取った。 ト ラックと衝突してはね飛ばされ、道路の縁石で後頭部を打ったことが死因となった。 出血もなく、 目に見える身体の変形もなく、どこまでも静かな死だった。 何を思う暇もなく、その死は一瞬の うちにやってきたのだ。おそらく痛みを感じる余裕もなかったはずだ。慈悲深く――と言っても


ほどなく叩外


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(4) 人..


しまう


始末


正気


しょうき


제정신


16. At