Created on September 11, 2023 by vansw
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ほど
程よい
적당하다
引き払う
そうご
ひきはらう
冬になれば毎年、このストーブにしっかり火を入れておりました。 薪は敷地内のべつの場所に潤 沢に備えてあります。 ですから薪についてはまったくもって心配ありません。 近くの林檎農家が 廃業したときに、古い林檎の木を切り倒したものを、ご厚意でたくさんいただいたのです。懇意 にしている製材業者がそれを程よい薪の大きさに切り揃えてくれました。 燃すととてもよい林檎 の匂いがします。 ああ、これが実にとても香ばしい匂いなのです。 いかがですかな、薪を持って きて、今ここで実際に火をつけてみましょうか?」
私は少し考えてから首を振った。 「いや、それには及びません。 まだそれほど寒いわけではあ りませんから」
「そうですか。 しかし必要とあらば、ああ、いつでもすぐに使えます。 冬の間あのうすら寒い二 階の館長室は引き払い こちらに移ってこられればよろしいのです。 その方が仕事も捗るという ものです。 添田さんもそのへんの事情はよく呑み込んでおられます」 「もともと何に使われていた部屋なのでしょう?」
子易さんは首を軽く傾げ、耳たぶを掻いた。 「さあ、そこのところはわたくしにもわかりませ ん。 ご存じのとおりこの建物は以前、酒造りに使われておりました。 図書館に用いるため、半分 以上は改装いたしましたが、あとの部分は、つまりこのあたりは、 手つかずで残されております。 この部屋がかつて何に使われておったのか、 ああ、昔のことなので、残念ながらその知識は持ち 合わせておりません」
私はもう一度その小さな部屋をぐるりと見回した。
「でもとにかく、この部屋もストーブも私が使って差し支えないのですね?」
ما
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潤沢
Ciphta (
香ばしい
女 고베네
구수하다
しゅぞう
さしつかえる 配造
방해되다