Created on September 07, 2023 by vansw

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なた


にら


上には、手斧と鉈が整然と並べられている。 その刃は研ぎ上げられたばかりらしく、なまめかし く威嚇的に光り、台の上から無言のうちにこちらを睨んでいる。 私は門衛小屋を通り抜け、「影 の囲い場」を横切り、影の寝ている部屋に入った。


部屋の匂いは前よりも重く、そこには死の予兆らしきものが漂っていた。 部屋に入っていくと、 板壁のいくつかの暗い節目が警告を発するように私を見た。「おまえの考えはわかっているぞ」 と言うように。私の影は布団にくるまり、死んだように眠っていた。 鼻の下に指を当てて呼吸を 確かめ、彼がまだ死んでいないことを私は確認した。 やがて影は目を覚まして、気怠そうに身を よじった。


「決心はついたんですね?」 と影は弱々しい声で尋ねた。


「ああ。今から一緒にここを出て行こう」


「今すぐ、ですか?」


「今すぐだ」


「もう来ないかと思いましたよ」と私の影は首だけをこちらに少し曲げて言った。「どうです、 ひどい顔をしているでしょう?」


私は影の痩せこけた身体を抱えて起こし、 肩を抱えるようにして外に出た。 それから彼を背中 に負ぶった。影に決して触れてはならないと門衛から注意されていたが、それはもうどうでもい いことだ。影はほとんど体重を持たなかったから、背負うのは困難なことではなかった。そうし て身体を密着させているうちに、影は本体である私から生気を受け取り、少しずつ活力を回復し ていくはずだ。砂漠の植物が水分を必死に吸収するように。 今の自分がどれほどの生気を影に分


だる


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